安全な食器の選び方

食器に潜む危険性

2008年に規格が改正され、陶磁器やガラス製品における鉛やカドミウムの溶出量が厳しく制限されたのをご存知ですか。 食品衛生法に基づく食品・食品添加物等の規格基準の一部が改正され、食品用途の陶磁器における鉛やカドミウムの溶出量の規格が以前より厳しくなりました。 なぜ陶磁器に鉛やカドミウム、と思われるかもしれませんが、鉛やカドミウムは陶磁器の発色や、つやをよくするために使用されます。 鉛やカドミウムには毒性があるので、陶磁器においても、食品用途に用いるものは食品衛生法でそれらの溶出量が厳しく制限されているのです。
鉛の毒性
厚生労働省資料 器具・容器包装及び玩具の規格規準改正の背景 -鉛及びカドミウム- より
急性毒性 感情鈍麻・注意力散漫・落ち着かない・頭痛・昇華不良・吐き気・皮膚蒼白・腹部けいれん
→腎尿細管障害・急性脳症(幻覚、記憶喪失)
慢性毒性 低濃度であっても肝臓、腎臓、生殖、免疫、神経、消化器系などに影響を与える。
腎障害→腎不全
末しょう神経作用(神経伝導速度の低下)
脳の発達障害→IQ低下
発がん性 発がん性を示す限定的な証拠がある(IARC,2004)

鉛・カドミウム規格策定の背景

鉛は環境中に広く分布し、また日常生活においても食品、大気、土壌、埃などから、人は自然に接種しています。 WHO(世界保健機関)は1976年にセラミック製陶磁器からの鉛及びカドミウムの溶出を危惧し、ISOに規格の策定を要請しました。 その後ISO専門委員会により国際規格が策定され、日本では1986年(WHOから勧告が出された10年後)にようやくそれに基づいた国内の規格が設定されます。

その同じ年、1986年にWHOはもう新たな鉛の暴露量低減の勧告を出し、ISOでも再度検討が行われました。
再度検討が行われた結果、1999年、2000年と国際規格が改正され、鉛、カドミウム溶出量の国際的な規制はより厳しくなりました。

ISO規格とは何か
ISO規格は国際標準化機構 (ISO)が定める規格。 工業製品などについて各国の業界団体が中心に なって策定。国際規格として位置付けられている,
食品用ガラス、陶磁器、ホウロウ引き製品からの カドミウム及び鉛の溶出、玩異からのカドミウム、 鉛を含む 8元素の溶出などに規格を設定。
1994年のウルグアイラウンド以降、WTO は各国 が国際規格に合わせて国家規格を制定すること を推奨。国際規格と異なる規格を制定する場合 には、十分な科学的根拠が必要。
陶磁器等のISO規格策定の目的
当該製品が不適切な配合や加工により製造さ れた場合に引き起こされる可能性のある危険か ら、人々を確実に守る効果的な方法が必要。
当該製品から溶出する有害物質に対する各国 の異なった規制は非関税障壁になる。そのため、 カドミウム及び鉛の溶出に関する国際的に承認 された試験法を策定し、有害な重金属溶出の許 容量を定めることが必要。
溶出限度値は安全性に配慮しながら、材質毎 に現在の製造方法でできる限り低く抑えるよう に設定。

厚生労働省資料 器具・容器包装及び玩具の規格規準改正の背景 -鉛及びカドミウム- より

同じ頃、アメリカでは、中国製のおもちゃにアメリカの安全基準を越える鉛を含む塗料が使用されていて、自主回収になる騒ぎがあったり、日本でも2007年に、 中国製の土鍋から基準値を大幅に越える鉛が溶出する事態がおき、輸入業者が自主回収することになったといったようなことが立て続けに起こります。

新たな国際規格と日本国内規格の乖離もあり、そういった事件もあったことで、日本では平成16~17年度厚生労働省研究において業界の方とともに、新ISO規格に基づく食品衛生法の改正を検討しました。 その後実際に国内の規制が強化されたのがWHOの勧告が出てから22年後の平成20年(2008年)のことです。
(経過措置期間を経て、実際に完全に適用される製品は翌年の平成21年8月1日以降に国内製造または輸入されたもの)

平成21年(2009年)7月31日までと、同年8月1日以降では陶器における鉛・カドミウム溶出の基準が大幅に違います。皆さんは、2009年以前に製造・輸入された食器をお使いではありませんか? (注1)2009年以前に製造された鉛・カドミウムを使用している陶器には現在の基準だと販売が出来ないほど有害なものがあります。 人体における許容量を越えるということです。今使っている食器に古いものがあれば、確かめることができれば各メーカーさんや販売店に問い合わせ、 その製品における鉛・カドミウムの溶出量、またはそれらの使用・不使用を確認しましょう。(注2) 安全性を確認できないときには、観賞用として棚に飾るか花瓶として使えば問題はありません。(注3)身体のことを考えるならば、食品用途には使わないようにしましょう。 特に小さなお子さんが使っている食器には要注意です。

ポイント1 2009年以前に製造・販売された食器を使うときにはその安全性をよく確かめる。

  • 規格の改正は、改正前の規格に適合しているもので既に製造・輸入して使用されているものについて、営業上の使用を禁止するものでもありません。(現在でも販売されているものもあります。)
  • 規格の改正は、製品に直接、製造年月日または輸入年月日を表示することを義務づけるものではありません。流通業者に対して製造者及び輸入車と同様な義務(製造・輸入日の記録等)を課すものでもありません。
  • 食品衛生法は、個人が自宅で使用することを規制するものではありません。自宅での使用を中止するかどうかはあくまでも個人の判断であり、強制されるものではありません。
  • 規格の適用について詳しくは厚生労働省資料器具及び容器包装のカドミウム及び鉛に係る規格の改正に関するQ&Aについてをご覧ください。

順次追加更新していきます。最新更新日 2012-11-5

今後の更新予定
※陶磁器中の鉛・カドミウムに関しては今後の更新で更にデータ等見ていきますので、過剰に心配する必要はございません。
通常販売されているものを使用されている限り、一般的に緊急性はございません。
  • 鉛が子どもにあたえる影響
  • カドミウムが子どもにあたえる影響
  • 基準値がかわるかもしれない
  • 安全な食器の選び方
  • デザインだけで選ばない
  • しっかりとした生産者を選ぶ
  • 日常的に長く使うことを考える
  • 規制が厳しくなった年度以降に製造されたものにする
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